I/O(にょんの基地)

インプットしたものをアウトプットする場所。

5つの挑戦 ①ピアノ1台を4人で弾く

8月初旬に参加したLE音楽会で自分が演奏した曲について、裏話をしようかなーと思う。

音楽会自体の詳細はこちら↓

 

nyonyonyonyoooon.hatenablog.com

 

 

上の記事にもある通り、私は5つのユニットを掛け持ちして計7曲演奏した。

もうそれ自体が私にとっては挑戦だったが、1つ1つの曲単位で見ても、程度の差はあれ新しいことをやっている、と思う。

そこで、5つのユニットで演奏した曲について、大変だったところや面白かったところなど、自分的なポイントを書いていこうと思う。

 

まずはこちら、「ピアノ1台を4人で弾く」

よく見るのは、「ピアノ1台を2人で弾く」だろう。連弾、と聞いて思い浮かべるのは4手連弾だ。

それを倍の人数でやるなんて、面白すぎる。始まる前からワクワクしていたが、実際にやってみたら案の定楽しすぎた。

 

私は、「Primo」というパートをやった。吹奏楽とかだと「First」と呼ばれるパートだ。

1番高音域で、主にメロディを担当する。たまに装飾的な動きもある。

連弾をする時、私は大抵伴奏役になることが多いので、いつもと違うことやりたいな〜という思いから、メロディパートをやりたいと申し出てみた。

曲の顔になるパートなので、ミスをすると目立つ。そして、自信を持ってはっきり弾かないとお客さんには届かない。しかも今回は4手連弾、色んな高さの音が一斉に鳴るのだ。その中心で、存在感を醸し出していなければならない。そんなパートです。

 

全部のパートの名前はこんな感じ↓

下に行くほど音が低いパートになる。

【高音】

Primo

Second

Terzo

Quatro

【低音】

 

・とにかく狭い

言わずもがなですが、とにかく狭かった(笑)

大人4人が鍵盤の前に横並びで座ると、普通に肩同士がぶつかる。そしてその状態で演奏する。

あんなに人と密着しながらピアノを弾いたのは初めてだった。距離が近い分、1人1人の音の個性をはっきりとした体感覚で感じることができた気がする。軽やかに弾く人、しっかりめに弾く人、一緒に合わせた時の変化…非常に面白かった。

 

・見たことがない、やったことがない手の動き

第一回目の合わせ練習で、「どんな感じなんだろ~!」をワクワクしながらそれぞれ最初のポジションに指を置いたところ、SecondとTerzoの手が交差した。

「…えっ!?!?!?!?!?!?」

まだ何も弾いていないのに爆笑が起こった。

 

4手連弾では、演奏中に2人の手が交差することはほとんどない(…と、思う。少なくとも私が過去に経験した曲では1つもなかった)。

基本的にメロディ担当は高音域、伴奏担当は低音域、というかたちで使う鍵盤の範囲がはっきりとわかれている。境目で互いの手が触れるようなことはあるが、他人の手をまたいで弾きに行く…なんてやったことがない。

手が交差するだけでなく、隣の人の右手と左手の間にある音を使って弾く(両手に挟まれる)とか、隣の人が直前まで弾いていた鍵盤を追い掛けるように弾くとか。姿勢に関しても、肩がぶつからないよう猫背気味の姿勢で弾くとか、手を広げてしまうと隣の人の邪魔になるので指1本で鍵盤を押すとか、とにかく色々あった。その度に爆笑した。楽しかった。

 

・合わせ練習は、主にポジションの確認

音の強弱がどうこう〜とかより先に、衝突が起こる場所の洗い出しと、互いにどう動くかの認識合わせをしていく。

時には楽譜通りではなく、手の重なる位置に応じて右手で弾くか左手で弾くかを変えたり。

ちなみに私は一番端だったので、Secondとのポジション調整だけで済んだ。両サイドを挟まれるSecondとTerzoは大変だったと思う…お疲れ様でした。

 

譜めくりのせわしなさと緊張感

4人で1つの譜面を見る。右ページにPrimoとSecond、左ページにTerzoとQuattroの譜面が載っている。見開きで載せられる量が少ないので、必然的に譜めくりの回数が多くなる。

そして、誰が譜めくりをするのか、指のマークで楽譜上に指示がある。基本的に、PrimoかSecond。私はPrimoだったので、それなりにめくった。

 

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こんなの初めてみた。

音と音の間の一瞬でめくるページもあったのだが、座る位置がちょっと変わっただけで手が届かずめくれなかったので、ポジショニングの重要性をひしひしと実感した。

 

・譜面のメモが前代未聞

「ここを大きく」とか「ここはスラーで」ではなく、「弾いたら逃げる」「〇〇が上を通るよ」「おちつけ!」というメモが飛び交うシュールな楽譜だった。面白すぎる。

ちなみに個人練習用の譜面にも、普段はしないようなメモをした。

だいたい最高音の3オクターブくらいの音域を使っていたのだが、普段その音域だけを使って弾くことなどないので、楽譜に音をメモする際にただ「ド」と書いても、それが1番高い「ド」なのか、その下の「ド」なのかが瞬時にわからない。

なので、1オクターブごとに①〜③の数字を割り当てて、どの位置の「ド」なのかがわかるよう数字でメモをした。

 

こちらが、個人練習用の楽譜。「Pr.」が Primo(私)の譜面、「Sec.」がSecondの譜面。

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①~③の番号が振ってある。例えば、同じ「ド」の音でも高さが色々あるので、どの高さの「ド」を押せばいいのかを瞬時に判断するためのメモ。 

一番高い音が①、その下が②、更にその下が③、というように決めていた。

 

 

 

基本的に合わせ練習は、関東に住んでいるPrimo〜Terzoの3人で行っていた。Quattroも入って全員合わせをしたのは、音楽会前日の夜。みんなこの日を心待ちにしていた。

TerzoとQuattroのポジション確認をし、何度か通しで合わせた。低音が入って音に厚みが出て、支えがより強固になったのがとても心強かった。

 

常に爆笑しながら練習していたので、4手連弾めちゃくちゃ楽しかった。というか単純に連弾が好きなので、弾いているだけで楽しかった。

徐々に指のポジションを覚えてきて、良いタイミングでスッと自分の位置に入れるようになると、快感。

 

最初はかなり不安が大きかったが、逆に「これは本当にちゃんとやらないとやばいやつだ」という認識でかなり集中して練習したので、個人的には予想していたよりも早い段階でゴールが見えた。

本番直前は、みんな必死ながらも笑って弾けるくらいの完成度になっており、それなりの年数ピアノを触っている人たちが集まると、この短期間で未知の世界に挑戦してもある程度のものはきちんとできあがるんだな、と感心した。

 

あと、同じ鍵盤弾きでも、人によってスタイルが違うことを体感できたのは面白かった。

練習前の指慣らしでハノンを弾く人もいれば、ジャズアレンジの曲を弾く人もいた。私は「指慣らし=ハノン」という認識だったので、そうでないパターンに出会ったのはすごく新鮮だった。

 

新しい世界に出会えた8手連弾、とても楽しかったです。