I/O(にょんの基地)

インプットしたものをアウトプットする場所。

やさしさってなんだろう

「やさしさってなんだろう」

 

そんな問いが、TwitterのTLに流れてきた。

最近やさしさを感じた瞬間がある!と思ったので、書いてみます。

 

私は、「やさしさ」は2つの要素でできていると思う。

①存在をありのまま認めること
「私はこうだと思う、こっちの方が良いよ」ではなくて、「私はこうだけど、あなたは違うのね」というスタンス。共感できないならしなくていい、ただ「そうなんだね」と認識してくれること。
②その人自身の思い・言葉で相手と関わること
相手のありのままを認めて寄り添いながらも、自分自身の素直な意見や感情を自分自身の方法で伝えること。

 

最近、やさしさを感じたことがある。

私は、今の仕事を辞めたいと思っている。昨年の9月頃から自己分析等を本格的に始め、転職に向けてベビーステップを踏んできた。そして11月、いよいよ次の職探しをしようと転職サイトを見始めたが、平日の日中は仕事をしながら面接を受けに行く、という現実を考えた時に、日々の負担が大きすぎて私にはできないと判断した。「とりあえず決まればいいや」ではなく、自分が本気で取り組みたいことを丁寧に探したい、そのような思いから次の職場を見つけるより先に退職することを決意した。

そんな折、運良く経営企画部長と面談をする機会があったため、退職の意志を伝えた。現時点で転職先が見つかっていないため、退職の理由として素直に「自分のやりたいことを本気で探したい」ということを伝え、自分自身の仕事観や自分の生き方に触れるような部分も併せて話した。

私の話を聞き終わった後、部長は言いづらそうに、でもはっきり「仕事ってそういうものではないと思う」と私に言った。

「個人的な意見だけど、好きなことは趣味としてやった方が良いよ」

「どうしてこの会社に入ったのか、その理由をもう一度振り返ってみたほうが良いよ」

「もっと周り(社内)の人に相談した方が良いよ」

「辞めることはいつでもできるから」

自分の感覚や思いに対して「そういうものではないと思う」と決めつけられたことがショックだった。(部長にはそんな意図はないことはわかっていたが、)自分の存在ごと否定されたように感じてしまい、面談後しばらく1人で泣き続けた。

かなりダメージが大きく、その後2日連続で会社を休んだ。そんな時、私に届いた2種類のメッセージがある。

 

★ライフエンジニア*1からのメッセージ

私は、ライフエンジンというオンラインコミュニティに所属している。ここが、今の私にとって最大の居場所である。ライフエンジンの仲間がいるから、見守っていてくれるから、メンタルがなかなか安定しない中でも何とか日々を過ごせている。コミュニティの詳細は以下リンク先を参照していただきたい。

jmatsuzaki.com

 

ライフエンジン内では、コミュニケーションツールの中で個人チャンネルを作り、自分の思ったことや考えたことを自由に綴る文化がある(クローズドなTwitterというイメージ)。私も個人チャンネルを持っており、日々の内省をつらつらと投稿している。部長との面談後、泣き崩れそうになるのを必死に堪えながら人のいないフロアの隅に移動し、個人チャンネルに思いを吐き出し、その後も辛さを紛らわそうと1~2時間ごとに個人チャンネルを覗いていた。チャンネルを開くたびに、新着の反応があった。

「周りの目を気にせずに思いを吐き出して」と言ってくれる人、状況に対して具体的なアドバイスをくれる人、「ひとりじゃないよスタンプ」「お茶スタンプ」等のリアクションスタンプ*2を押してくれる人…

色んな形のやさしさに触れた。

誰一人として、「その伝え方じゃダメだ」とか「もっと強く伝えなきゃ」等と言う人はいなかった。ありのままの私を受け止めてくれ、それぞれ自分にできる方法でエールを届けてくれた。私の投稿に対するリアクション全てに、1人1人の思いが込められていることを感じた。それがとても嬉しかったし、やさしさを感じた。

 

★先輩からの退職メール

入社以来、同じグループで共に業務をしてきた先輩が結婚をきっかけに関西に引っ越すこととなり、最近退職された。入社直後はもちろん、異動でグループが変わってからも業務上頻繁に連絡を取っていたり、他の先輩を含めて焼肉に行ったりなど、交流が深かった方である。

1月上旬に送別会があったが、日程が例の部長面談の翌日だった。会社を休んでいるにも関わらず、送別会だけ顔を出すことなどできないため、幹事役の上司に泣く泣く欠席メールを打った。ご挨拶できなかったことが申し訳なかったし、悔しかった。

面談後、週を跨いで6日ぶりに出勤してメールボックスを開いたら、未読メールであふれかえってパンクした受信ボックスの中に、「ご挨拶」という件名で先輩からメールが入っていた。

以下、先輩からのメール文抜粋。

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ついに退職の日が来てしまいました…

体調大丈夫ですか?(>_<)

無理は絶対にしないことです!

如何様にも人生の選択肢、生き方はあります。

辛いときは後先考えずにスパッと終わらせるのも大切だと思います。

休むことは悪いことじゃないし、今まで頑張ってきた分の休みだと

思ってゆっくりしてくださいね(^〇^)

なーんて何様って感じですけどね笑

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先輩は私とは真逆の性格で、仕事はとても早かったが、時に大雑把だなと感じることもあった。自分の感覚にとても素直で、仕事としてやらなくてはならないものも面倒くさいと思ったら上手いことしれっとショートカットするし、上司相手にも「面倒くさいものは面倒くさい」とはっきり言う方だった。細かいところが気になる神経質な私は、先輩と自分の間のギャップに悶々としつつも、上司が相手であってもはっきりと意思表示できる先輩を羨ましく思っていた。 そんな先輩から届いた退職メール。

 

「辛いときは後先考えずにスパッと終わらせるのも大切だと思います。」

 

この一文が真っ直ぐ心に響いてきた。

そもそも私は、辛いときであっても物事をスパッと終わらすことができないタイプである。現状をどう終息させるか、その後どうするか、色々なことを考えてしまう。そのため、私からすればこの一文は「それができたら苦労しないよ」、というある意味卑屈な受け取り方もできてしまう。

しかし、そうではなく素直に受け取ることができたのは、言葉に乗っかっている「先輩らしさ」を感じることができたからだと思う。私の思考に合わせて「大変だと思うけど、たくさん悩んで頑張ってね」というニュアンスではなく、先輩自身の感覚で、先輩自身の素直な言葉で伝えてくれた。なんとも潔い、先輩らしさが詰まったエールだと感じて嬉しくなった。

実際の私はスパッとやめることなんてできないけれども、心は少し軽くなった。そうだよね、辛かったらやめていいんだよね。私の進もうとしている道は間違っていないんだ、と思えた。

共感とは違うベクトルでのやさしさ、を感じた。

 

 

相手の存在を認めて、自分自身の方法で意見や感情を伝える。

私も、自分なりのやさしさを届けていこうと思う。

*1:ライフエンジンに所属しているメンバー

*2:ライフエンジン内には、他人の投稿に対してスタンプでリアクションする文化がある。Twitterの「いいね」機能に似ているが、「いいね」だけでなくライフエンジンオリジナルのスタンプが多数存在する。お茶スタンプは、頑張っている人やちょっとお疲れ気味の人に対して労いの意味を込めて押されることが多い。